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 鉄筋建築物耐用年数の
 考え方について

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鉄筋建築物・マンション等の耐用年数の

考え方について




建物劣化・内部鉄筋の耐力減少・コンクリート中性化等の長期修繕計画及び
技術的アドバイス




鉄筋建築物・マンション等の一般的な建物の耐用年数の考え方について述べて見ます。

(当社のホームページを見たマンション管理組合の人から長期修繕計画の相談があり、そのマンションの耐用年数について質問をされることがありました。)






鉄筋建築物・マンションの耐用年数の考え方について


1.建築物の耐用年数について

最初に建築物の耐用年数の用語の定義付けをする必要があります。このことは、実は簡単なようでなかなか大変なことです。

といいますのは、建築物の耐用年数という用語は、間違いやすいのですが「似て非なるもの」として、企業会計や税法上の分野でも又用いられています。企業会計や税法上の分野では、例えば鉄筋の建築物は一律に60年と定められております。最近47年に変更改正されました。

こちらの耐用年数の目的は、法人税等の課税目的、すなわち企業の期間損益計算のめの原価償却期間算出のための耐用年数なのです。

これから述べる建築分野での耐用年数とは、直接的には関係ありません。
結果的に一致する事があったとしても、あくまでも無関係な概念といえます。

良くある事例ですが、マンション管理組合の管理者の方で、この点を同一概念としてとらえている方もみうけられます。注意すべきです。
ここでは、建築工学の立場から鉄筋建築物の耐用年数を考察することにします。


2.建築物の劣化とは
 
ある建物が設計図書の通りに施工され、そして竣工されたならば、その建物目的、いわゆる「初期性能」は満足されたといえます。ここでは、(瑕疵の問題は別といたします)。
しかし、年月の経過とともにその建物は、直線的か曲線的かは別として確実に経年劣化することになります。

我々がその劣化を判定する基準も又、所有者等の主観的なものに基因する場合と、それらとは無関係に、客観的・物理的なものによってその建物が劣化進行する場合が考えられます。又、これらの要因が複合的に建物に作用する場合が普通です。

結局ある建物の耐用年数の到来の判定基準は、所有者等が初期性能で計画した全ての初期性能の劣化要因、すなわち物理的・経済的・機能的の諸要因、最近では行政的な法律的要因までも総合判断して結論づける必要があります。

身近な例をあげれば、一昔前は、鉄筋の建物の耐用年数は100年と言われていましたが、実際には、商業用建築物などでは30年位で解体され再建されていました。特に高度成長期の後半では、この傾向は顕著でした。

この様な事例は、建物の物理的な耐用年数よりも、その建物の経済的な耐用年数のほうがはるかに短い、という好事例といえます。
そして、ここでの経済的な耐用年数は、その時代の経済力に大きく影響され、伸縮されます。

この様に、ある建物の耐用年数の到来を決定することは、建築工学、経営学、経済学的な検討が必要になります。しかし、ある建物の物理的な耐用年数の決定は、それほど複雑ではありません。建築工学的見地から決定可能です。そして、この建物の物理的な耐用年数こそが、本来の意味の耐用年数ということができます。

ある建物に、我々が要求する最低必要条件として、経験的に予想される地震や台風などの外力に対しても、その建物の中で安全に生活ができるということにあります。

そして、安全に生活ができるということが可能な建物の基本的耐力を「構造耐力」とするならば、この「構造耐力」が欠如した時点こそ、耐用年数の到来、といわねばなりません。

何故ならこの時点で、我々は好むと好まざるとにかかわらず、大規模修繕工事をするか、建替えをするのか、の意思決定をしなければなりません。


3.構造耐力(物理的耐用年数)の捉え方を中心として

ここでは、耐用年数の決定要因を、物理的な要因であるコンクリートの強度と内部鉄筋の寿命から考えてみます。

建築物は、外力や自重(主として地震力・台風・固定過重・積載過重)に対して、コンクリートはその圧縮力で、鉄筋はその引張り力で抵抗しています。そしてコンクリート強度の低下要因として、火災・凍害・糖分等の有害成分の存在、及び施工精度等があります。


4.鉄筋の錆による耐力減少として

鉄筋の錆による耐力減少としては、コンクリート自身の中性化、及び酸・塩類との接触・水分の介在等が、大きな原因となります。

一度鉄筋に錆が発生すると、その錆の膨張力によって(錆の膨張力の方がコンクリート強度の引っ張り抵抗力よりも大きいため)、コンクリートにひび割れが発生し、その部分のコンクリートは剥離することとなります。

又、ひび割れ剥離することにより、空気中の炭酸ガス・水分等によって更に鉄筋の錆とコンクリートの剥離が進行してしまう、という悪循環を繰り返すこととなります。

その結果、その建物の構造上の耐力は初期性能から著しく低下することになります。
この耐力減退は、この時点から急速に進むと考えられるので、通常はこの時点を耐用限界すなわち、その建物の耐用年数の到来と考えるべきであります。


5.コンクリートの中性化について

一般的に鉄筋コンクリートの耐用年数を技術的に論ずる場合、鉄筋の錆の発生要因となるコンクリートの中性化を問題とします。
鉄筋コンクリートの耐用年数の決定要因とは、コンクリート自体の中性化の問題と言い換えることも可能です。

ここで、中性化という用語を化学的に定義するならば、コンクリート中に含まれる水酸化カルシウムが大気中の炭酸ガスと反応して、炭酸カルシウムに化学変化する現象をいいます。

コンクリート自体にアルカリ性がある間は、内部鉄筋を錆びさせることは無いが、中性化することによって、コンクリートの外部から内部へと徐々に中性化が進行することになります。(完全な施工が行われているタイル、石張の下地コンクリートなどは、数十年経過してもまったく中性化されることは無い。)

従って、ある鉄筋建築物の耐用年数は、その建物の中性化年数を把握することにより、その建物の耐用年数が算出可能となります。


コンクリート中性化の実用的な一般式として下記の公式が使われています。

 T= α * β * γ * A0 * Xの二乗 

 T= コンクリート表面からXcm中性化される年数

 α= コンクリートの材質係数。 水セメント比の影響が大きい。
     ここでは一般的建築物に使用されている、
     普通ポルトランドセメント。 
     水セメント比 60%

 β= その建物の存在している地域格差を表す係数。
     その場所の炭酸ガス濃度によって決定される。  
     通常の都市地域では 0.81 を採用する

 γ= 中性化遅延率。 1.0 を採用。

A0= 中性化の常数。 内田博士、浜田博士の実験値 7.2年/2cm。


それではこの式を用いて、ある建物に当てはめて具体的な物理的耐用年数を求めてみます。

設 例

○セメント     普通ポルトランドセメント使用

○水セメント比   60%

○建築地      市街地

○外壁仕上げ    コンクリート打ち放し

注)本件建物は吹き付け施工がなされているが、安全率を高める為にコンクリート打ち放しとして、計算する。

 T= 1.45 * 0.81 * 1.0 * 7.2 * 2X = 8.52 * Xの二乗

     ここでXは、外部鉄筋の被りを3cmとする

 T= 8.5 * 9 = 72

 
※故にこの建物の物理的耐用年数は72年と判定できます。


6.その他の中性化調査方法

調査箇所において、ダイヤモンドカッターでコンクリートコアを数箇所抜き取り、または建物の躯体に直接ドリルで穴をあけ、フェノールフタレイン1%溶液を噴霧します。
その部分のコンクリートがアルカリ性であれば、ピンク色に変化するため、躯体コンクリートの中性化深度を知ることが出来ます。

コンクリートコア抜き取り調査をする場合、この資料を利用してコンクリート圧縮試験を行えば、現時点でのコンクリート圧縮強度を知ること出来ます。又、調査費用の節約にもなります。




 以上です。



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